谷明が真骨頂としているメカ系の造形物は、単に精密さだけではない別の魅力がある。それは谷明がメカニカルなディテールを面単位ではなく、線単位から構築できる能力(=センス)を有しているからであり、その類い希な能力故に“天才”と比喩される。そんな谷明の魅力を最大限に引き出せるアイテムを、ジャンルにとらわれずセレクトしたシリーズ。エヴァンゲリオンの旧劇場版が制作された際、谷明が造形した量産機の作画参考用モデルは、独特のシルエット、微妙な筋肉表現など、それまでのエヴァ造形の方向とは明らかに異なるアプローチで仕上げられ、劇中で量産機の不気味な雰囲気を醸し出すことに一役買ったと言っても過言ではない。新劇場版に登場するエヴァンゲリオンは旧作から大きく全体のバランス等にアレンジが施されており、造形的視線で見るならば全くの別物である。この設定画を谷明の造形テイストで仕上げた究極の立体彫像。
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